少女漫画とは思えない重厚な物語「愛してるぜべイベ★★」
こんにちは、すももです。
今回はちょっとBLから離れた、ある少女漫画を紹介したいと思います。
今回紹介する漫画は、槙ようこさんの「愛してるぜベイベ★★」です。
愛してるぜベイベ★★ 1 (りぼんマスコットコミックスDIGITAL)
- 作者: 槙ようこ
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2015/04/01
- メディア: Kindle版
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BL漫画紹介のブログをやってるのに、急に少女漫画なの!?って感じですが、許してさ...。
少し前に槙ようこさんが漫画家を引退する事を発表されました。
最近の作品を読んでいなかった私が言う権利は無いと思いますが、引退を知った時、とてもショックを受けました...。私にとって、槙ようこさんの愛してるぜベイベは忘れられない漫画の1つです。どうしても語りたくなりまして、愛してるぜベイベの思いを綴っていきたいと思います。
ストーリーの内容に触れてはいきますが、核心的なネタバレはしません。少しでもネタバレが気になる方は、ここで読むの止めてね...。
私は少女漫画が苦手な少女でした。そんな時にアニメ放映されていた、愛してるぜベイベに出会いました。
子供ながらに衝撃でした。
これは少女漫画なの?と思うほど、恋愛とは?結婚とは?子供とは?本当の親といれる事が幸せなのか?どれだけ相手を信じられるのか?など、沢山の苦悩に幼稚園児のゆずゆや高校生の結平が悩みながら答えを探す姿が、一生忘れられない物語になっています。
1巻のあらすじだけ載せときます。
片倉結平、女ったらしの17歳。ある日、片倉家に5歳のゆずゆがやってきて、結平は保護者係に。保育園の送り迎えの毎日で、女遊びができなくなった結平だが……。
タイトルとこんな軽いスタートが、涙流しながら読む漫画になるとは誰も思わないよ!
ちなみにKindleのあらすじ間違ってて、保育園じゃなくて幼稚園ですよ!
この物語の主人公は、幼稚園児ゆずゆと高校生の片倉結平です。少女漫画で、幼稚園児と男の子が主人公ってだけでも、普通の少女漫画じゃないね。この片倉家に来たゆずゆは、結平の母さんの妹の子供です。結平からするといとこにあたります。
ゆずゆのお父さんは亡くなり、1人で子育てする事が辛くなり、ゆずゆを置いて蒸発してしまいます。そのため、片倉家が預かる事になりました。そして、ゆずゆのお世話を結平がすることになります。
結平は女たらしのただの男子高校生。いきなり子供の世話をしろ!と言われても全然わかりません。そんな結平がゆずゆの悲しさを知り、懸命にゆずゆと向き合う事を決め、失敗しながらもゆずゆへの世話や悲しみを埋める事に真摯に努めていきます。
物語が進むにつれ、ゆずゆの母親がどうしているかがわかるのですが、私はゆずゆの母親が許せませんでした。蒸発してしまったゆずゆの母親は、その後新しく仕事を見つけ、新しい相手を見つけ、同居していました。そして、物語の終盤、ゆずゆを返して欲しいと頼みに来ます。
ゆずゆの母親だけはこの漫画の中で1番嫌いです。他にも嫌なキャラは出てくるんですが、それでもダントツです。ゆずゆの母親の優先順位が仕事>男>子供なんです。子供が最後なのがどうしても許せない。ただこの許せないという感情が、片倉家やゆずゆを苦しませ、読者も苦しくも感動出来る結末へと進めていきます。
ちなみに結平の姉である、お姉さまが一番がこのゆずゆの母親の行動にとても精神的な苦痛を受けます。この理由は読んでね。私は一番このお姉さまが好きです。
これだけ読んでると、本当に少女漫画!?って言いたくなりますよね。ここから少女漫画の話をしましょう。
ゆずゆの視点と結平の視点で分かられてる漫画なので、ゆずゆが関わらない高校生活に関しては、ちゃんと結平恋愛します笑。
結平が恋愛する相手の同級生の心ちゃん。女たらしの結平が心は嫌いでした。そんな中、たまたまゆずゆの事を助けてあげる事から、ゆずゆが危険な時に助けに入ってくれるようになります。ゆずゆをきっかけに結平と心の距離が縮まっていきます。
ここら辺が恋愛部分なんですけど、恋愛部分にも結構重い話が含まれているのがこの作品。
心ちゃんも母親がいません。そして、父親は再します。物語が進むと結平に恋敵が現れます。心ちゃんに片思いをする板垣。無理矢理関係を持とうとして、心に暴力的な手段に出ます。心ちゃん酷い目に合う事が多いのですが、結平の心の優しさが心ちゃんを癒していきます。ここら辺が数少ない少女漫画ぽさです笑。
ここまでだらだら書いてきましたが、主要人物じゃない人達の話はすっ飛ばして話してるんですが、すっ飛ばした人達の話もめちゃくちゃ重い話。
虐待、希死念慮、イジメ、ストレス性記憶障害。
もう盛りだくさんの重い話が詰まってるぞ!それでも結平の優しさ、懸命さに触れ、みんな前向き進んでいきます。
重い話ばかり取り上げてますが、サブキャラ達は明るい子ばかりなので、全然病み系な漫画ではないよ。ただめちゃくちゃ泣くけどね!!!
子供と大人の狭間の年齢で、老若男女と向き合い戦い、ゆずゆを守り続けた結平の最後を見ると、ボロボロ泣きます。
超主観的な感想を言うと、結平の頑張りって何だったのかな。こんなに頑張った優しい子が最終的には一番傷つくのって…。やっぱり、ゆずゆの母親は許せない。こんなに多くの人を巻き込んで、苦悩させて、自分だけ幸せになろうだなんて…。やるせない気持ちでいっぱいになるけど、それでもゆずゆとの出会いが結平にも、ゆずゆにも楽しかったと思える出会いであった事だけは確かだったんだなって思えてよかった。
ネタバレして言いなら、もっといっぱい書きたい事はあるけれど、自分自身で1巻から読んで、ゆずゆとの絆を深めてから、最終巻を読んでほしい。こんな素晴らしい作品を生み出してくれた槙ようこさんを知って頂きたい。
引退してしまっても、この作品は消えないものだから、ずっとずっと素晴らしい作品だと言い続けていきます。
私の青春の1ページの愛してるぜベイベを描いてくれて、本当にありがとうございました。
槙ようこさんの人生がこれからも楽しい未来であると願っています。お疲れ様でした。